eスポーツの未来!メタバースとは?

近い将来、オリンピックの公式競技になるのも確実ではないかとも言われているeスポーツ。2000年代からのインターネット技術の飛躍的な進歩とともに、ゲームソフトにオンライン対戦機能が実装され、ゲーム関連企業が主催する大会や有志の大会が積極的に開催されるようになったことで、プロプレイヤーが登場しはじめました。

最近ではスポーツだけでなく、スポーツ観戦の方法も種類豊富となってきました。スポーツベットの対象としても、eスポーツは世界中から注目を集めています。ここでは、そうしたeスポーツビジネスに特に影響が大きいと想定されている技術トレンドのひとつでもある、話題の『メタバース』について見ていきたいと思います。

メタバースとは?

メタバースという言葉は「超(メタ)」と「宇宙(ユニバース)」を組み合わせた造語で、元々は作家のニール・スティーヴンスンが1992年に発表したサイバーパンク小説『スノウ・クラッシュ』に登場する架空の仮想空間サービスの名称でした。その後、私たちが生きる現実の世界においても、テクノロジーの進化によって実際に様々な仮想空間サービスが登場するようになり、それらの総称や仮想空間自体の名称として、この言葉が主に英語圏で用いられるようになりました。日本においては、主にバーチャル空間の一種として、企業および2021年以降に参入した商業空間に対して、この名称が使われています。専門家によっては将来インターネット環境が到達するであろう概念とも言われており、利用者はオンライン上に構築された3次元コンピュータグラフィックスの仮想空間に、『アバター』と呼ばれる自分の分身で世界中のどこからでも参加することができ、お互いに意思疎通しながら買い物や商品の制作・販売といった経済活動ができるようになるだけでなく、そこをもう1つの「現実」として新たな生活を送ったりするようになれるのではないかとさえ言われています。

eスポーツとメタバースの関係

近年、新型コロナウイルス感染症拡大などをきっかけに、リアル空間での課題やそれを回避する要請の解決策のひとつとして、バーチャル空間に対するニーズが急速に高まりました。その代表的な例のひとつとして挙げられるのが、コロナ禍後、テレワークとともに急速に普及している『バーチャルオフィス』です。必要なときのみ、ビデオ会議などによって業務に関連するやりとりを行うテレワークという働き方には、個人作業が基本で社員同士の交流をはかりにくいというデメリットがあります。そこで、バーチャルオフィス内に疑似的に身を置くことで、休憩中にたわいのない雑談をするような形のコミュニケーションも可能となります。こうしたメタバースは、これまでもゲームやエンターテインメントの世界を中心に成長してきましたが、eスポーツとも親和性があると言われています。eスポーツは、もともと対戦はもちろん、観戦もオンラインで行われることが多かったのですが、パンデミックをきっかけに大会の多くはオンライン化されたことにより、その流れにますます拍車がかかった形になりました。

可能性に満ちた未来

メタバースでは、住んでいる場所に関係なく誰でもデバイスを通してアクセスできます。世界中のユーザーと気軽に交流ができるのが魅力で、離れた場所にいても同じ時間を共有できるのが最大のメリットでもあります。日常生活においても、仕事やプライベートでもメタバースを取り入れることで、これまでさまざまな障壁があり実現できなかったような体験が可能となってきます。オンライン上の単純なやりとりとはまったく違う次元でのコミュニケーションが可能になることで、私たちの暮らしがより充実したものになると期待されています。こうした特徴を活かし、既にメタバースでは、限定的ではあるものの、eスポーツ大会や、選手とファンとの交流の場としての活用がはじまっています。メタバースの中でファン同士が交流しながらeスポーツの試合を観戦したり、一緒にゲームをプレーしたりといった新たな形での楽しみが生まれる可能性も秘めています。デバイス越しでは難しかった、仲間と同じ時間を共有するという感覚をメタバースによって得られるようになり、プレイするだけではなく、観て楽しむeスポーツ文化の発展にもつながっていくのではないでしょうか。さらに今後、メタバースのビジネス化が進み、より幅広い業種の企業が参入してくれば、メタバース空間でのeスポーツのビジネス機会も拡大していくと想定されています。